謎解きはディナーのあとで_E01_05-06
影山:ホントでございます。思い出してみてください。幼稚園の年長さんの夏、野良犬に襲われたとき、どこからともなく最高級松阪牛の分厚いステーキ肉が飛んでまいりませんでしたか?
宝生:あっ。
影山:小学3年の遠足、落としてしまったお弁当が。
宝生:私のクラブハウスサンド。
影山:なぜか再びバスケットに入っていませんでしたか?
宝生:確かに。
影山:それらは全て唐沢さんがお嬢さまを守っていたからなのでございます。
宝生:やった、いただきます。入れて。
子供:あっ、いいよ、麗子ちゃん。
影山:全て唐沢さんの日記に書いてありました。
宝生:唐沢。ちょっと待って。 生まれてからずっとってことは。どいて。嫌。
影山:お嬢さま。
宝生:何かすっごい気分悪くなってきた。
影山:お口直しに、さっぱりした洋梨のソルベをお持ちいたしましょうか。
宝生:ううん、逆に飲みたい気分。
影山:かしこまりました。
宝生:ああ、ただでさえ、変な事件を抱えてるのに。
影山:変な事件?と申しますと。
宝生:うん、死体が靴を履いたままってこと。死体を動かしたと考えれば、不思議じゃないんだけど、どうしてわざわざ死体を動かすのか。それが分かんない。分かる?影山。
影山:いえ、さっぱり分かりません。
宝生:そうよね、あなたに聞いた私がバカだったわ。
影山:ただ、お嬢さまがもう少し時間をかけて詳しくお話しくださるのならば、あるいは私なりの考えをお伝えすることができるかもしれません。
宝生:詳しくって?
影山:お嬢さまは今日何人かの方にお話を聞いているはず。証言の内容だけでも、お聞かせいただければ。
宝生:あなたずっと見てたの?
影山:当然でございます。ただ、会話の内容までは分かりかねますので、お聞かせいただければ。
宝生:でも、まあ、誰かに話すことで、事件への理解が深まるかもしれないし、いいわ、それじゃ詳しく話してあげる。
影山:ありがたき幸せ。
宝生:最初に会ったのは第一発見者の杉村恵理。被害者の吉本瞳と同じアパートに住むOLよ。
杉村:瞳ちゃんとは飲み友達でした。昨日の夜からメールをしても返事が来ないので、けさになって、部屋に行ったんです、そしたらドアが開いてたので、不思議に思って、普段は戸締まりには人一倍気を使う人だったから、鍵を掛け忘れるなんてこと、絶対にないのに、で、中にいるのかと思って、ちょっとのぞいてみたら、それですぐに110番を。
宝生:彼女の話しぶりにも、不自然さは感じられなかったわ。
影山:なるほど。
宝生:で、影山、あなた、このときも、私のこと見てたの?
影山:はい、ここから。
宝生:どうやって隣の部屋に入ったのよ。
影山:宝生グループの力をもってすれば、造作もないことです。
宝生:まあ、そうだろうけど。
宝生:2人目はアパートの大家、河原健作。
河原:昨日私が郵便受けに、夕刊を取りに来たとき、そのとき、ちょうど帰ってきた吉本さんと擦れ違ったんです、1人で駅の方から歩いてきて、私の目の前を。
风祭:それは何時ごろのことですか?
河原:あの番組が終わったときですから。
河原:ちょうど夕方の6時ごろですね。
宝生:警部。
风祭:よく気付いたね。
风祭:これはフランク ミュラーの…。
宝生:死亡推定時刻と一致します。
风祭:そんなこと 君に言われなくても。
宝生:あの、そのときの吉本さんの様子は。
河原:それが。おかえりなさい。
吉本:あっ、どうも。
河原:普段は挨拶をしてくれる子なのに。
河原:今、思うと、何だか様子が変でしたね。
风祭:そのときに何らかの事件に巻き込まれていた可能性が高いな。で、彼女と擦れ違った後、あなたは?
河原:真っすぐ自分の部屋に戻りましたよ
河原:ああ、向かいの八百屋の主人が見ていたはずです。
宝生:それで、向かいの八百屋さんで、裏付けをとったの。
八百屋店員:ええ、確かに見ましたよ。河原さんはそのまま部屋へ戻っていきました。
宝生:で、影山、あなたはこのときも、どこかにいたの?
影山:ここでございます。
宝生:そこか。
影山:まあ、宝生グループの力をもってすれば…。
宝生:グループの力関係ないでしょ。
影山:いいえ、宝生グループの力をもってすれば。
宝生:で、ここで、なかなか貴重な情報をもたらしてくれたのが被害者と同じアパートに住む大学生の森谷康夫。
森谷:昨日、コンビニ行こうとしたときさ。
森谷:ダダダダダダって、すごい勢いで、階段を駆け降りる音がしたんだよね。
宝生:何時くらいか、覚えていますか?
森谷:うん、6時ぐらいだったと思うよ。
森谷:そんときは、別に何とも思わなかったんだけど、ひょっとして、犯人が逃げるときの足音だったんじゃないのかなって。
宝生:大家の河原と擦れ違った後、彼女は殺され
宝生:犯人は死体を部屋に運びこんだということなのでしょうか。