謎解きはディナーのあとで_E01_07-08

謎解きはディナーのあとで  

风祭:それはどうかな、宝生君。つくづく恐ろしいやつだよ、僕って男は。

宝生:何か分かったのですか?

风祭:はい、死体がブーツを履いていた謎がね、犯人は室内で彼女を殺し、その後、死体にブーツを履かせたのさ。犯行が部屋の外で行われたように、見せ掛けるために。

宝生:いや、それはないと思います。

风祭:えっ?

宝生:被害者が履いていたのは編み上げのブーツです。自分で履くのも面倒な物を死体に履かせるとなると、どれだけ苦労するか?そんな手間がかかることを殺人犯がするとは、とうてい思えません。

风祭:もちろん僕も君と同じ意見さ、死体にブーツを履かせるなんて、フフフ、バカバカしいにも ほどがあるよ。そうだろ、宝生君。

宝生:ええ、警部のおっしゃるとおりです。なんてことをやってたわけだけど。ちなみに、このとき、影山は?

路人:ちょっと。        八百屋:おっ、いらっしゃい。        路人:今日、何が安いの?

八百屋:トマト、トマト。

路人:ちょっと聞いてよ。        八百屋:何?

路人:さっきコンビニでさ、若い女の子にだまされちゃってさ…。

影山:動けない状態でございました。

宝生:やるなら、ちゃんと見守って。

影山:はい。

宝生:で、被害者の部屋から見つかった写真の男の身元が割れたから、会いに行ったの。

田代:殺された?        宝生:はい。

田代:分かりました、そういうことなら別の場所で、近くに喫茶店がありますから。

宝生:写真の男は田代博之33歳。大手IT企業のエリート社員。

风祭:では、吉本さんと付き合っていたことは認めるんですね?

田代:ええ、1年ぐらい前に、うちの会社に派遣されて、仲良くなって。

喫茶店:ご注文は?

宝生:あっ、じゃ、ブレンドを。

风祭:2つとブルーマウンテン プレミアムセレクトを1つ。

宝生:じゃ、それで。        喫茶店:はい。

田代:でも彼女が別の会社に移ってからは全然、まあ、自然消滅ってやつですよ。

风祭:なるほど。しかし、なぜ彼女はあなたの部屋の合鍵を持っていたんでしょうね。あなたは とっくに別れたと言っているが、その実、2人の関係は継続中だったのではありませんか。

田代:鍵は別れた後、そのままになってただけですって、よくあることでしょ。それに、仮に僕と彼女が続いてたとして、それが何だっていうんです?僕が彼女を殺したとでも?

风祭:まあまあ、われわれもあなたを疑ってるわけではありません。

喫茶店:お待たせいたしました。

风祭:やっぱりコーヒーはブルマンに限る。


 

宝生:あの、そっちブレンドです。

风祭:もちろん分かっていたよ。ところで田代さん、あなた昨日の夕方はどこに?

田代:アリバイですか?会社の仲間と平塚で夜まで釣りをしてました。

风祭:ほう、夜まで釣り。だったら、ゆうべは大変だったでしょ。雨が降って、釣りどころではなかったのでは。

田代:鎌をかけようったって、無駄ですよ。確かに天気予報では関東全域で雨だなんて言ってましたけど、予報は大外れ雨は降りませんでした。こっちでも降らなかったんじゃ ないですか?

宝生:降ってないですね。

田代:もういいですか?人を待たせてるんで。

宝生:あの玄関にあった白いハイヒール。失礼ですが、新しい恋人ですか?

田代:ええ、それが何か。

宝生:いえ。        田代:失礼。

宝生:結局、田代の釣り仲間に確認したら、アリバイは立証されて、捜査は完全に振り出しに戻ったってわけ。

影山:まあ、その辺りはだいたい聞いておりました。        宝生:あるじが働いてる後ろで、何で優雅に振る舞う。        影山:ちょうどティータイムの時間でございましたので。

宝生:で、どう?影山、何か思い付くことはあった?        影山:あっ、はあ。    宝生:どんなささいなことでもいいのよ。        影山:はあ。

宝生:そりゃそうよね、プロの刑事を相手に素人が推理を語るなんて勇気がいるわよね。

影山:あのよろしいですか?お嬢さま。思ったこと申し上げて。

宝生:もちろんよ、遠慮することないわ、何でも どうぞ。

影山:ホントによろしいのでございますね?

宝生:ええ、間違った推理を言っても、笑わないから、安心して。

影山:では、率直に思うことを述べさせていただきます。失礼ながら、お嬢さま。

宝生:何かしら。

影山:この程度の真相がお分かりにならないとは、お嬢さま、アホでらっしゃいますか?

宝生:クビよ、クビ。絶対クビ。

影山:まあまあ、そう興奮なさらないでくださいませ、お嬢さま。

宝生:これが興奮せずにいられるかっつうの。この私が執事にバカにされるなんてあり得ない。こんな話聞いたことない。

影山:あっ、いや、私は決して、お嬢さまのことをバカにしたつもりは。

宝生:ええええそうでしょうとも。確かにあなたは私をバカにはしなかった。だってあなたは私のことをアホと言ったんですもの。バカじゃなくてアホと。だからクビよ。はい決定。今すぐこの屋敷から出ていきなさい。さあ早く。

影山:かしこまりました。では私はこれで失礼を。

宝生:ちょっちょっと待ちなさいよ。

影山:まだ何かご用ですか?お嬢さま。

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