星の王子さま~LE PETIT PRINCE~

by Antoine de Saint-Exupery

 

 

二ばんめの星には、うぬぼれ男が住んでいました。

 

- やあ!やあ!おれに感心してる人間がやってきたな

と、うぬぼれ男は、王子さまを見かけるなり、遠くからさけびました。

 

うぬぼれ男の目から見ると、ほかのひとはみな、じぶんに感心しているのです。

 

- こんにちは。へんなぼうしかぶってるね

 

- こりゃ、あいさつするためのぼうしだ。おれをやんやとはやしてくれる人がある時に、あいさつするためのぼうしなんだ。

でも、あいにく、だれも、こっちのほうへやってこないんでね

 

- あ、そう?

と、王子さまはいいましたが、あいてがなにをいっているのか、わからなかったのです。

 

- 手をたたきなさい、パチパチと

と、うぬぼれ男はいいました。

 

王子さまは、手をパチパチとたたきました。すると、うぬぼれ男は、ぼうしをもちあげながら、ていねいにおじぎしました。

 

 こりゃ、王さまをたずねるよりおもしろいな

 

と、王子さまは思って、また、手をパチパチとたたきました。うぬぼれ男は、またぼうしをもちあげながら、おじぎしました。

 

五分間も、手をたたくけいこをしているうちに、王子さまは、することがいつまでもおなじことなので、くたびれました。

 

-         そのぼうし、どうしたら、下におりるの?

 

だけれど、うぬぼれ男の耳にははいりません。ほめることばでなくては、うぬぼれ男の耳には、けっしてはいらないのです。

 

- おまえさんは、ほんとにおれに感心してるかね?

と、うぬぼれ男が王子さまにたずねました。

 

- 感心するって、それ、いったい、どういうこと?

 

- 感心するっていうのはね、おれがこの星のうちで、一ばん美しくって、一ばんりっぱな服を着ていて、一番お金もちで、それに、一ばん賢い人だと思うことだよ

 

- でも、この星の上にいる人ったら、あんたひとりっきりじゃないの!

 

- たのむからね、まあ、とにかく、おれに感心しておくれ

 

- ぼく、感心するよ

と、王子さまは、心もち肩をそびやかしながらいいました。

 

- でも、人に感心されることが、なんで、そうおもしろいの?

王子さまは、そういって、そこを立ち去りました。

 

おとなって、ほんとにへんだな、と王子さまは、旅をつづけながら、むじゃきに思いました。

 

http://homepage2.nifty.com/tomatoworld1/prince11.htm

 

 

つぎの星には、呑み助が住んでいました。

王子さまは、その呑み助を、ほんのちょっとたずねたきりでしたが、ひどく気がしずんでしまいました。

 

呑み助は、空のビンと、酒のいっぱいはいったビンを、ずらりと前にならべて、だまりこくっています。

 

王子さまは、それを見て、いいました。

-   きみ、そこで、なにしてるの?

-   酒のんでるよ

   と、呑み助は、いまにも泣きだしそうな顔をして答えました。

 

-      なぜ、酒なんか飲むの?

と、王子さまはたずねました。

-      忘れたいからさ

と、呑み助は答えました。

 

-      「忘れるって、なにを?

と、王子さまは、気のどくになりだして、ききました。

 

 

-      はずかしいのを忘れるんだよ

と、呑み助は伏し目になってうちあけました。

 

-      はずかしいって、なにが?

と、王子さまは、あいての気もちをひきたてるつもりになって、ききました。

 

-      酒のむのが、はずかしいんだよ

 

というなり、呑み助は、だまりこくってしまいました。

 

そこで、王子さまは、当惑して、そこを立ち去りました。

 

おとなって、とっても、とってもおかしいんだなあ、と、王子さまは、旅をつづけながら考えていました。

 

http://homepage2.nifty.com/tomatoworld1/prince12.htm

 

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